どんなゲーム?
- ハード:Nintendo Switch
- ジャンル:RPG
- ゼノブレイドシリーズナンバリング作品
- ※以下ネタバレと考察あり、結構ガッツリめ。
良かった所
ストーリー
- 「生きる」ということに主眼を置いたストーリー
- これがこのゲームの全てと言っても過言ではない。エセルとカムナビの決闘シーンや、おくりびとによるおくる行為、シティーをはじめ多くのコロニーに存在するキャラ達がどう生きるかを考えるその過程にすごく価値を感じた。
- サブキャラクター・ヒーローなど、魅力的なキャラが非常に多い
- 本作は主人公たち以外にもかなりのフォーカスが当たっている。というよりウロボロス一行は置かれた境遇が同じであるがゆえに、生きるというテーマを追求するにあたって多角的に物事を考えられる立場ではない。なので、多くのヒーロークエストやサブクエストで他者を知ることによって己を知る構図にもなっているように思えた。
システム・UI
- マップの広さは健在
- ゼノブレイドと言えばコレ
- ボリュームが凄い
- メインストーリー、サブイベント、ヒーロー・覚醒イベントが非常に多く、またバトルに関してもユニークモンスターが多くやり応えはかなりある
- 7人パーティでバトルが可能
- 他ゲームのRPGではあまり見ない。ロールをキッチリ分けて戦うタイプのバトルなので、システムを理解すればするほどダメージが出せるようになり、戦略の練りがいがある。ただ1体の敵相手に7人で戦うと若干リンチっぽく見えてシュール
悪かった所
ストーリー
- 悪役(メビウス)に魅力がない
- 基本的に暴言を吐いたり快楽のために行動しているキャラばかり。
ただし中盤から明らかな製作意図を感じ始めたのでそこからは気にならなくなった。小物感のあるチープなセリフ回しも明確な意味があると感じ取れた。
- 基本的に暴言を吐いたり快楽のために行動しているキャラばかり。
- 回収されない伏線や設定が多い
- おくり人の「おくる」という行為、リクとメリアの関係、黒い霧・ラッキーセブン(終の剣)・メビウスとはなんだったのか、瞳を介した情報共有の仕組みなど最後まで説明されない設定が多い。
一応こういうことなんじゃない?と結論付けられそうな情報はある程度与えてもらってはいそうだが、全体を通してそういう説明されない事象が多い。
- おくり人の「おくる」という行為、リクとメリアの関係、黒い霧・ラッキーセブン(終の剣)・メビウスとはなんだったのか、瞳を介した情報共有の仕組みなど最後まで説明されない設定が多い。
- 演出がやや冗長だったり古臭さを感じる
- イベントシーンが全体的にかなり長い。ゲーム全体に占める割合が長いという話ではなく、1つのシーン自体が間延びしていて長く感じた。
エヌ・エムと戦うシーンとかは結構引き延ばしというかテンポの悪さを特に感じた。バトルで勝利しても何故かこっちが追い詰められてたり。ストーリーが良い作品なだけにここは正直もう少し改善して欲しかった。
- イベントシーンが全体的にかなり長い。ゲーム全体に占める割合が長いという話ではなく、1つのシーン自体が間延びしていて長く感じた。
システム・UI
- チェインアタックの演出が非常に長い
- 基本的に強敵やユニークモンスター相手にはほぼ使わざるを得ないといえるほどの火力なのに演出が長いのでスキップしたい欲はずっとあった
- アクセサリーのソートがめちゃくちゃしづらい
- 種類が多い上に、ノーマル・レア・エピックでアクセサリーの質も分かれているので終盤になるほどものすごい数になる
- ヒーローの覚醒クエストの条件がわかりにくい
- 前提クエストをクリアし、ヒーローをパーティに加え、なおかつ特定の場所に行く必要等があるので発生条件がわかりにくい
- 終盤のジェム作成が苦行
- Xのジェム作成に尋常じゃないほどの素材を要求される。見ただけ集めるのを諦めるレベル。明確なやり込み要素ともいえる
- ソウルハッカーのアーツ・スキル集め時にソウルハッカーがパーティにいないとアーツ・スキルが習得できない
- ソウルハッカー取得前のユニークモンスターも再討伐しなければならなかったのは面倒だった
考察
良いところよりも悪いところの数が多くなってしまったが、それだけ夢中になってプレイできたということで読後感、満足感は十分にあった。メッセージ性が非常に強い作品で、ストーリーの核の部分、製作者の意図が十二分に伝わってきたことでほとんどの悪い部分はあまり気にならなかった。
とにかくこのゲームはゼノブレイド3の世界「アイオニオン」に存在する設定や世界観の説明が必要最小限というかほとんどされないので、恐らくこうだろうと思えた部分のみを記載する。
メビウス
結局、メビウスとはなんだったのか。結論から言うとメビウスは「生きることに対して大きな絶望を経験した人達」もしくは「生きることを諦めた人達」だったと思う。
この世界の人間は死しても転生することができるが、その過程で上記の経験をした人間をゼットがメビウス化していた。ヨラン、シャナイア、クリスなど過去に何かしら大きな絶望を経験した人物達がメビウスとなっていた。エヌもそう。
逆にエセル、カムナビ、ナミ、ミヤビなど生に何らかの意味を見出したり後悔しなかった人達はメビウスにはなっていなかった。
であれば、ほとんどのメビウスがその言動から誰かが苦しんだりする様子を見ること自体を目的にしている節があったがそれにも納得できる。今を生きる人達に対してああいう言動やアプローチをすることで現在の世界「アイオニオン」の在り方や絶望した気持ちをこちら側に押し付けよう伝えようとしていたと考えられる。
最初は執政官なんて呼ばれていたし、メビウスが「確固たる目的のある、組織立った何かしらの集団」と思っていたのでこれらの言動が不可解で仕方がなかったが、元は人間だったメビウス化した人物の存在や、集合的無意識のゼットの存在を知ることで情動的な行動や言動も腑に落ちるようになった。
おくりびとの役割
おくりびとは何をおくっていたのか?一応公式では「命を落とした兵士を弔う役割」と言われているが、おくる行為自体の説明や、光の粒子が何なのかの説明はない。
「光の粒子」について印象的なクエストが1つある。
シティーで発生するモニカのヒーロークエスト「ヴァンダムを継ぐ者」にて遺品を集めるクエストだ。
遺品を集めたあと、ノアとミオは遺品の前で泣くシティの人々に感化されてか「おくる」行為を始める。
すると遺品から光の粒子が立ち上る。セナが「粒子が・・・」と発言していたのでシティー以外のアグネス・ケヴェスの人達(ウロボロス一行)にとっても予想外の出来事だったと思われる。
おくる行為によって発生した光の粒子を目の当たりにしたモニカが決意を固め、主人公たちに同行することになるという印象的なクエストだった。
戦死した兵士に対してしかおくる行為をしてこなかったため、彼らはおそらく光の粒子を「命の残滓」のようなものと思い込んでいたのかもしれないが、実際には命ではなかった。
とすると、おそらく「意志」ではないかと思われる。
(エセルがカムナビと決闘するシーンでは自身の意志を「願い」「憧れ」「想い」とも表現していたので状況によって表記は定まらないかもしれないが)
粒子が出なくなったおくりびとのサブクエストがあったが(名前は忘れた)、ノアは「自分がどうおくりたいか?」という道筋を示していた。ノアがそう考えておくる行為をしていたとなると、おくっているの命そのものではなく、意志を託す・届ける行為をしていたと捉えられるし、シティーで遺品から粒子が出るのも納得できる。
またストーリー中でも、特にエヌやエムと対峙する際に想いを「託す」「受け取る」「届ける」といった表現を良く使用していたので、全体的なストーリーのテーマも加味すると、粒子を人の意志(想い)と考えるといろいろ辻褄が合うのではないかと思う。
まとめ
序盤にノア・ランツ・ユーニが戦いから帰ってきて一緒にシャワーを浴びるシーンがあったが、そこで互いにまったく恥じらう様子がなかったのを見て「これは思ったよりしんどそうなストーリーかもな…」とまず最初に感じたところがインパクトとして大きかった。
PVでも10年という短い寿命しか生きられないことが明かされていたので、辛い話だろうなという予想はついていたが、人の感情の部分にも手が加えられている?ような描写を一番最初のシャワーシーンでもってこられたのでちょっとキツそう予感がしたが杞憂だった。
伏線や設定が全て明らかにならないのはちょっとモヤっとはするが、逆に伏線や設定が全て拾われているのが良いゲームかというと別にそうでもない。
他にもわからないことはいっぱいあるけど、ストーリーに関わるメッセージ性のある要素であるメビウスとおくりびとについてもおそらく理解できたので満足。終わってみれば大きなメッセージ性で全ての内容を包み込んだという印象で全体的にとても満足感の高いゲームだった。
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